
狼くんを飼いますけど…
第3章 同居者
店の入口にある植え込みに 体育座りしている若者に声をかける。
「 お待たせ。ちょっと一緒に来てくれる?」
そう言うとビクッとして俯く若者。
「 …警察?」
「 え… あ、違う違う!買い物行くから 一緒にと思って。行かない? つまみ食い出来るスーパーあるの 」
私は若者に近づき スーパーのポイントカードを見せた。
納得したのかボサボサした中途半端に長めの髪を風に揺らし立ち上がった。
う…わ~ 背高っ
確かに小汚ないホームレスだけど なんかもったいない。
「 あのさ、家はどこ?」
一応ね、聞いてみるよね…
首を横に振る若者に、やっぱりね と思う。
今 関わっていて はい、さよなら… で見捨てるのかどうか 自問自答し始める私。
スーパーまで歩きながら まだ自問自答している私。
養うつもりはない、仕事なら店長が雇うかもしれないし…
問題は住む家…
私、どうかしてる。
絶対に そんな選択する性格じゃない!
でも…
見捨てるなんて ムリかもって思う時点でどうかしてる!
スーパーに着いて、若者は なぜか一緒に中に入ろうとしない。
「 どうしたの?」
首を振るだけで言葉がない。
自分の事 わかってるんだ…
「 じゃあ、 待ってて 」
それだけ言って 私はスーパーの中に入った。
