
狼くんを飼いますけど…
第4章 イタズラ禁止令
泉希の迫る唇を必死の抵抗。
あ、危なかった…
「 あれ、違った?誘ったんじゃないの? 」
それに対して 思いきり首を左右に振って否定した。
「 そっか、残念。けど、那緒さんには彼氏とかいたら紹介しない方がいい、絶対に食われるから 」
ええ、やだ…
でも彼氏なんかもういないし。
志貴は…
彼氏とかじゃなくて 飼ったというか なんていうか…
指でイカされたけど、彼氏じゃないもん。
眉間に眉を寄せていると、泉希が私の頭を撫でた。
「 今のはナシ、なんかあったら相談に乗るし、いつでも話しな?」
泉希くん、優しい。
二人でこっそりトイレから出ると、厨房に那緒と志貴がいた。
横目に見ながら店内に行くと、美也が寄ってきた。
「 笑ちゃん、ちょっと ちょっと!」
「 何? どうしたの… 」
「 お局様見た? イケメンバイトくん独り占め、ピッタリくっついて教えてんの!
絶対 あのバイトくん、食べられちゃうから 」
いや、もう 食べられちゃったよね…
しっかりと。
あんなの聞きたくなかったし、知りたくなかった…
私は郁斗にでさえ おしゃぶり行為をしたことがない。
ただ、初めての相手、郁斗にされるがままだった。
だから気持ちいいとか、何がよくて、何に感じてなんて わからないまま。
ただ言えるのは、志貴のキスと指使いに濡れる快感を知った。
あれはただの お礼に過ぎないかもしれない。
一緒に暮らす上では必要のない行為。
だから志貴にはダメだと言った。
そのすぐあとに、那緒に志貴を…
志貴は那緒さんにどうして されちゃったの?
どうして… 那緒さんに反応したの?
喘ぐくらい気持ち良かったの?
なんで、那緒さんの口でイッたの…
そういえば、環は 郁斗と相性がいいって、ほんとかな…
郁斗意外で経験はないけど、環は何が良かったわけ?
「 …全然、わかんないっ 」
「 笑ちゃん… 聞いてないでしょ。私の話 」
「 あ、ごめん!聞いてるよ!那緒さんが肉食って話でしょ? 」
「 そう! 那緒さんがいるから バイトがみんな女ばっかになるんだよっ 」
あ… なるほど。
その辺 気にしてなかったわ。
