今日も明日も
第57章 見えない鎖 part Ⅰ
だけど彼がそう言うのに無理に飲ませる訳には行かないから
「シーツ取り替えたから、また横になりなよ」
まだ怠そうな彼をもう一度ベッドに促した
「もう、大丈夫です…」
だけど彼はそれを拒む
どこが大丈夫なんだか
どう見てもまだまだ大丈夫には程遠いのに
「いいから。どうせ俺しかいないから横になって」
「でも……」
「怪我して熱まで出したんだから、おとなしく寝てろって」
多分、彼は何を聞いても遠慮しそうだ
だったらもう、聞かずに行動に起こした方が早い
そう悟った俺は、今日何度めかの彼を抱き上げて
さっさとベッドに運ぶ事にした
「眠らなくてもいいから横になってなさい」
「はい…」
さすがにベッドに押し込まれれば彼もおとなしくなる
素直に布団を被ったところで、俺もベッドの下に漸く腰をおろす事ができた
「あの……」
「ん?」
「何で俺を…助けたんですか?」
彼からの言葉は少し衝撃だった
ありがとうでもすみませんでもなく、何故助けたのかを聞いてくるとは思わなかったから
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