
嵐の俺と、パパの俺。
第2章 なにがどうなって
急いで着替えると、車に乗り込みエンジンをかける。
今の俺は、パパの俺じゃない。
嵐の櫻井翔、なんだよな?
頬を強く叩くが何も変わらない。
ハンドルを強く握る。
落ち着け俺。
寝て起きるたびに、違う世界にいる。
ということは、また寝たら起きた時には、向こうの世界にいるってことだろ?
どうやって移動してんだ?
そもそもなんで。
アクセルペダルに足をかけ、思いっきり踏み込んだ。
某テレビ局の楽屋についたときには、すでに11時を回っていた。
「ごめん!!寝坊した」
楽屋には4人がいて、すでに衣装に着替え、アセットやメイクも終わっていた。
「翔さんが寝坊だなんて珍しいですね、なにかあったんじゃないかって心配してました」
ニノが心配そうにこちらを見ている。
「もしかして昨日の寿司、高すぎてショックで寝込んでるんじゃないかって」
チョー心配したよ!って相葉ちゃんが駆け寄ってきた。
まあたしかにあの寿司代は予想以上の高さで目を疑った、が、そのくらいのことで寝込むはずがないだろう。
「心配かけてごめん、ただの寝坊だよ」
ちらっと楽屋の奥をのぞくと、筋トレをしている松潤と、ソファーで爆睡している智くんの姿が見えた。
ソファーで寝るなって言ったの、智くんのくせに、と思いだして笑みが溢れる。
まあ智くんは智くんでも、向こうの世界の智くんなんだけどね、言ってたのは。
「俺、すぐに衣装に着替える!あ、でもその前にトイレだけいかせて!」
慌てている俺をみてニノがくすっと笑う。
「大丈夫ですよ慌てなくて、収録は12時からになったので、それに翔さんが最近忙しくてあまり眠れてないことはスタッフも承知だったので怒ってないですよ」
メンバーやスタッフにまで気を使わせてしまい、本当に申し訳ない。
だけど今日だけ甘えさせてもらっても、いいかな?
「ありがとう」
トイレに行くため、楽屋を後にした。
