
嵐の俺と、パパの俺。
第2章 なにがどうなって
ルンルンしている俺をみて、呆れながら笑う智くんは、もう寝るねーと言って布団の中に潜った。
そして、おやすみ、とつぶやいた智くんはすぐに眠ってしまった。
その寝顔をこっそりと盗み見る。
口は半開きで、もうすでに深い眠りに入っている。
35歳とは思えないあどけない寝顔に思わず笑みがこぼれる。
1年後も5年後も10年後も、こんなあどけない寝顔をして寝ているのだろうか?
その寝顔を、ずっとそばで見続けられるのだろうか?
「智くん、おやすみ」
彼との未来を思いながら、ゆっくりと瞼を閉じた。
けたたましく鳴り響く携帯電話の音で目が覚めた。
こんなに朝早くから一体誰だ?
寝ぼけたままの頭で、携帯を耳に当てる。
「はい、櫻井です」
「あ、櫻井さん?!今どこにいます?!」
「どこって家ですけど」
そういえばすぐ隣で寝ていた智くんの姿がない。
もう起きたのか?
というかこの電話の相手の声どこかできいたことのあるような。
「困りますよ!今日はしやがれの収録日ですよ?10時に来てくださいって言いましたよね?」
しやがれ?
収録日?
一気に頭の中が覚醒し飛び起きる。
見渡すと、見慣れた自分の部屋が広がる。
あれは夢だったのか?
いやまさか!
じゃあ一体・・・・
「ちょっと櫻井さん聞いてます?」
電話の向こうでマネージャーが叫んでいる。
時計を見るとすでに10時を過ぎている。
「今から車で向かう!」
電話を切り、慌てて服を着る。
俺は嵐が存在するこちらの世界にまた戻ってきた。
