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嵐の俺と、パパの俺。

第2章 なにがどうなって



えっ!
どうしたのだろう?



「具合でも悪いの?」



「いやそういうわけじゃないけど」


作りたくないだけ、といって布団に潜り込んでしまった。


疲れてるのかな?

でもたまには


「じゃあ今日は俺が作るよ」


智くんみたいに上手に作れる自信はないけどさ。

布団のなかから、ありがとうって篭った声が聞こえた。

  
 



忠にお手伝いをさせながら、なんとか作ったのはカレーライス。 

智くんはカレーライスが大好物、のはず!


ちなみにチョコレートやらリンゴやらポイポイいれていたら、かなり甘めなカレーになってしまった。



「忠、智くん起こしてきて」


うんっ!と嬉しそうに返事をし、寝室へと走っていく忠の後ろ姿をみる。


あれはたしかに大倉だけど、
もう違和感感じねぇなぁ。


そして自分もすっかりパパという役割を受け入れていることに驚きつつも、それはそれで嬉しくなった。


そういえば向こうの世界では俺は存在するのだろうか?だって俺はいまこっちの世界にいるのだから。俺がこっちにいる間、嵐はどうなっているのだろうか?


「あ、カレーじゃん!」


突然の声にハッとなる。
隣には嬉しそうな智くん。

考え事にふけていて気づかなかった。


「パパと作ったんだよー!僕玉ねぎの皮向いたんだよ!」


すごいでしょ!って騒ぐ忠に、智くんはすごいすごいと褒めている。


「冷める前に食べよう!」


三人でいただきますをし、俺と忠の手作りカレーを食べる。


うまい!けどやっぱり甘すぎるかも。


「あ、おいしい!」


智くんはそう言うと、お腹が空いていたのかパクパク食べ続けている。


よかった。
甘すぎて食べれないって言われたらどうしようかと。


「毎日智くんに作ってもらうの申し訳ないし、俺がたまに作るよ。」


俺の作った料理を食べて笑顔になる智くんがまた見たいし!


「ありがとう。でも俺、」


スプーンを置くと悲しそうに俯く智くん。


えっ。なに?どうしたの??







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