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嵐の俺と、パパの俺。

第2章 なにがどうなって

智side



忠を幼稚園に送り届け、帰りに犬の散歩をしていた相葉ちゃんに遭遇。

新婚生活についていろいろ聞いてたら、結構話し込んでしまい、家に帰ってきたのが10時前だった。


早速キッチンの片付けから始めようと、あたりを見渡すと、弁当が置いてあった。


あー!翔くん弁当わすれてるし!



まあ忘れたなら、コンビニでなにか買って食べればいいだけの話だが。


せっかく作ったし。


俺は弁当を翔くんに届けることにした






翔くんの職場は俺の元職場。

働いていた頃に仲良くなった警備員に声をかけ、事情を説明するとすんなり通してくれた。


受付の女性に小説編集長の櫻井を呼んでほしいとお願いすると、少々お待ちくださいと言われ待っていると。


「只今、櫻井編集長は外出されているようです」


「それじゃあ代わりの者で結構です、忘れ物を届けに来ただけなので」


そう言うと、女性は電話に出た相手に代わりに来てほしいと伝えた。

すぐに来るようで、ロビーで腰を掛けてまつことにした。


ひさしぶりの空間になつかしさを感じていると、


「大野元編集長、おひさしぶりです」

あぁ、この子は確か、


「ひさしぶりだね、松下さん。」


翔くんを好きな人だ。





いろいろ思い出しそうになって、慌てて弁当袋を彼女にさしだした。



「弁当、翔くんに届けてほしい」



だが彼女は受け取ろうとしなかった。


「櫻井編集長のお弁当のことなら心配しないでください。私が作ってきたので。」


ニッコリ笑う彼女がこわい。


「正直、大野元編集長が作るお弁当は栄養が偏りすぎていて、あれじゃあ最近櫻井編集長が顔色悪いのも頷けます。」


昔も彼女にそう言われたことを思い出す。
だから必死になって栄養のことを勉強し、食事も変えてきたのに。


「今日は私のお弁当渡すので大丈夫です。明日からも私が作ってくるので。」


もう帰って頂いても大丈夫ですよ、と彼女は微笑んだ。


思わず働いてた頃の記憶がよぎり、震えが止まらなくなる。

あのときも彼女に散々、、、



「智?!」



背後から聞き慣れた声が聞こえて、

彼女はチラッと目をやりそのままどこかへ行ってしまった。

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