
嵐の俺と、パパの俺。
第2章 なにがどうなって
お昼の時間になり、社員がぞろぞろと食堂へ向かう中、
「あー!弁当忘れた」
かばんに入れたと思ってた弁当。
たぶん入れ忘れた。
ガックリ肩を落としていると、
「あの、よかったら私のお弁当食べますか?」
ピンクの弁当袋を手にした松下が声をかけてきた。
「いや、大丈夫。コンビニでなんか買ってくるよ。」
財布をポケットにいれ立ち上がろうとすると、
「編集長の顔色最近悪くて、もしかしたら栄養不足なのかな?って心配して、作ってきたんです!だから、」
食べてください!と無理矢理渡された弁当。
断っても引く様子がなかったので、諦めていただく事にした。
弁当の蓋を開けると、綺麗な盛り付けに、栄養のありそうな野菜中心のおかず。ご飯は五目ご飯だ。
いただきます、と手を合わせ、一口食べると予想以上の美味しさに思わず頬が緩んだ。
「うまい!」
近くで様子を見ていた彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「よかったー!あ、あの、今度から私がお弁当作ってきますね!」
えっ、それはいいよ、と断ろうとしたが、口の中がいっぱいで喋れず、彼女もさっさとどこかに行ってしまった。
困ったことになった。
とりあえずニノに相談してみよう。
せっかくいただいた弁当を残すわけにはいかず。
なんとも言えない気持ちで食べきった。
