
嵐の俺と、パパの俺。
第2章 なにがどうなって
いやまって!
慌ててスーツの内ポケットに手を突っ込む。
あったー!
取り出したのは自分の名刺、
そこには会社名が記されてあったので、急いで携帯で検索する。
ふむふむ、電車で20分ってとこか。
地図もバッチリ頭にいれて、とりあえず駅へと急いだ。
やっぱりどの世界の満員電車もつらい。
かなり久々に満員電車に乗ったが、息が詰まって死ぬかと思った。
いつもは車移動だから座って寝てられるもんなぁ。マネージャーに感謝だ。
着いた駅から徒歩五分のところに会社はあるのだが、
「ま、まじか。」
目の前にそびえ立つでっかいビル。
そして、この出版社はあっちの世界でもかなり有名な立川出版じゃないか。
嵐として、この雑誌に何度か出させてもらったことがある。
動けずに立ち止まっていると、
「あれー櫻井編集長、なに挙動不審になっちゃってんの?」
背後から聞き慣れた声が。
振り向くと、ニヤニヤしたニノがいた。
そうだ、ニノもこの出版社で働いてんだった。
そしてたしか。
「これはこれは二宮編集長、俺はすごいとこで働いてんだなぁって改めて感動してただけだよ」
今更すぎ、とニノがつっこんだが、今更もなにも今日初めて見たんだからしょーがないだろ!と、心の中で捲し立てておく。
「あ、そういえば、相葉ちゃんと結婚おめでとう。改めて言っとく。」
社内を歩きながらニノに言うと、ありがとうございます、と照れながら返事をしてきた。
にしても。
周りの女性がこちらを見て色めきだっているのは気のせいか?
ニノに聞こうとしたが、ニノは特に気にすることなく歩いている。
自意識過剰すぎっていわれそうだよなぁ。
なんて思っていると、
「ほんとに、翔さんは結婚しても女性からモテるんすね。」
エレベーターを待つため、立ち止まったニノがため息を漏らした。
「お、俺そんなモテるんだ。」
「はぁ?この間なんて新入社員に告られてたくせに。まあ、あの時の翔さんったら結婚指輪見せつけながら、俺が愛してるのは智くんだけだから、とかクサイこと言って振ってたけど。」
今度智にいっとこ、そうニノは呟き、到着したエレベーターに乗り込んだ。
