
嵐の俺と、パパの俺。
第2章 なにがどうなって
智くんが用意してくれた朝食を、三人で食べる。焼きたてのパンはおいしいし、サラダに牛乳、果物と栄養バランスは完璧だ。
向こうの世界の智くんは、ラーメンやカレー、シーザーサラダなど好きなものだけしか食べない、だいぶ偏った食生活をしている。
家族を持つと、やはり食への意識も代わるものなのだろうか?
なんて、ひたすらパンをもぐもぐ食べていたら、忠のごちそうさまでした!という声が聞こえた。
「ちょっと翔くんも早く食べないと仕事遅れるよ?」
同じく先に食べ終わった智くんがあきれた顔をして俺を見ている。
俺は慌ててパンを口に入れ、牛乳で流し入れた。
その後もなんだか慌ただしくて、忠が幼稚園の帽子どっかいっちゃった、というから朝から三人で探しまわって、結局忠の幼稚園のリュックの底のほうに押し込まれていた。
「じゃあ忠幼稚園に送ってくるね、翔くんは仕事がんばってね」
いつの間にか時間はギリギリで、三人とも慌てて玄関を出た。鍵をしめていると、忠を自転車の後ろに乗せた智くんがこちらを見てそう言った。
「智くんも忠をよろしくね」
おう!と男らしい返事をした智くんは、手を振った忠と一緒に幼稚園へといってしまった。
なんだか、本当に幸せな家庭って感じだなぁ!
思わず緩む頬。
さあ、俺も仕事仕事ー!
はりきって歩き出してみたものの。
「俺の会社、どこ」
