
嵐の俺と、パパの俺。
第2章 なにがどうなって
まぶしい光で目が覚めた。
小鳥のさえずりが聞こえる。
あーいい朝だ。
うん?朝?
慌てて上半身をおこし、昨夜のことを思い出す。たしか、寿司屋行ってタクシー乗って、あれ?タクシー乗ってからここに至るまでの記憶がまるでない。
俺昨日飲んでないし、酔っ払って記憶がないはずがないし。
「んー翔くんどうしたの?あ、もう6時かぁ」
おはよ、と目を擦りながら起きてきた智くん。この状況は一体?!
ま、まさかお持ち帰り?!
いやでも昨日ちゃんと見送ってから帰ったはずだし!!
「翔くん、もう起きたほうがいいかも、会社間に合わなくなる」
彼から出た会社という言葉に
俺はまた違う世界にやってきたことを悟った。
俺はまた、この世界に来てしまった。
呆然とする俺を他所に、智くんはさっさと着替えて、朝食の支度を始めている。
パンの焼けるいい匂いに誘われ、お腹がグーとなった。
とりあえず起きるか。
早速顔を洗ってみたがやはりこれは夢ではなく、一体なにがどうなっているのか全く分からず頭が痛くなった。
とりあえず今日は会社出勤なので、スーツに着替え、ネクタイを締める。鏡の前にうつる自分は、まるでこれからニュースZEROの放送に臨む姿と何ひとつ変わらなかった。
「あ、翔くん、忠起こしてきて!」
リビングにいくと、朝食のパンとサラダを並べている智くんがいて、忠を起こしてくるように頼まれた。
なんかほんと、夫婦って感じ。
少し不思議な気分になった。
忠の部屋にいくと、忠はすでに起きていて幼稚園の制服に着替えている最中だった。
「忠、おはよ」
「あ、パパ!おはよう!」
朝からまぶしい笑顔を見せるこの幼稚園児は、大倉なんだよなぁ。
「ボタン、とめられるか?」
制服のボタンに苦戦していたようなので
少し手伝う。
「パパ、ありがとう!」
忠は嬉しそうに飛び跳ねると、リビングへと走っていった。
