
嵐の俺と、パパの俺。
第2章 なにがどうなって
雑誌の対談が終わった頃には、すでに夜になっていた。
「みんなおつかれー!せっかく帰り一緒だしこのあとご飯食べ行かない?」
楽屋につくと、相葉ちゃんは早速嬉しそうにみんなを誘い始める。
「相葉さんの奢りなら行きまーす」
「俺も相葉ちゃん奢ってくれんなら行こうかな」
「えーなんで俺奢らなきゃなのさ?そこは嵐のおじさんチームの方々にお願いしよーよ」
おい、おじさんじゃない、お兄さんだ。
なんて反論も最近は強くできないほどに、おじさんになってると自覚はしている、だってもう30も半ばになるし。
智くんをチラリとみると、案の定すげぇ嫌そうな顔してる。
そりゃそうか、ラーメンですら躊躇する人だからなぁ。
「じゃあ今日は俺奢るよ、知り合いの寿司屋さんでいい?」
俺の言葉に、みんな目を輝かせ帰り支度を始めた。
たまにはいっか。
とりあえず知り合いの寿司屋に、今から行くと電話で伝えておいた。
寿司屋まではマネージャーの車で行くことになり、俺は二宮と同じ車になった。
「翔さん、今日はありがとうございます」
「いいって、いつも智くんや相葉ちゃんに奢ってもらってるし、たまにはかっこつけさせて」
俺の言葉に、ニノが笑う。
「にしても、寿司屋を選んだとこが翔さんらしいですね、しかも大野さんお気に入りの寿司屋」
ニヤニヤしたニノがこちらを見る。
たしかに、寿司屋を選んだのは智くんが魚が好きだということもあるし、その知り合いの寿司屋は以前にも連れて行っていて、智くんがとても気に入ったお店だった。
意図してやったことではないが、無意識にも彼を思いやっていたのだと思うと、なんだか恥ずかしくなった。
「い、いや別に、たまたまだよ」
「翔さん、大野さんのこと好きなんじゃないんですか?」
ニノの言葉に動揺し、手元のホットラテを落としそうになった。
そういえば、いつしかニノに相談したことがあった。ニノは親身になって相談にのってくれたことを思い出す。
「ちがう、正確にはすきだった、だよ。もう6年も前にこの恋は諦めてるから」
だって決して叶うことのない恋だから。
