
嵐の俺と、パパの俺。
第2章 なにがどうなって
風呂から上がると、
アルバムを広げていた智くんがいた。
「見て、俺らの高校時代。ちょーなつかしくね?」
智くんが一枚の写真を指差す。
どうやら俺と智くんと松潤、ニノと相葉ちゃんの5人は高校時代からの仲らしい。
「卒業して、翔くんとニノはそれぞれ別の大学に進学して、松潤はニューヨークに留学、相葉ちゃんは家の中華屋の跡継ぐために料理専門学校行ってさ」
あんとき、初めてみんなバラバラの道を歩いて行ったよなー、と当時を思い出しているのか、懐かしそうな顔をしている。
「智くんは?」
「俺は推薦で美大に行ったよ、あんときは大学もろくに行かないで、パリとかイタリアを放浪してたなぁ。」
パリやイタリアでみた絵を自慢気に語る智くんは、目がキラキラしていて、とてもイキイキしている。
こんな智くん見るのも、あっちの世界も含めたら久々だな〜。
「それでどうなったの俺ら」
智くんの話が一段落し、俺が質問すると、智くんはほんとになにも覚えてないんだね、と寂しそうに笑った。
「松潤はダンサーになって今は振付師やってるし、相葉ちゃんは実家の中華屋を経営してるよ。」
それでね、と智くんが取り出した一枚の写真には、スーツ姿の俺と智くん、ニノの3人が写っていた。
「俺と翔くん、ニノは同じ出版社に勤めてたんだよ、俺が美術専門誌の編集長で、翔くんが小説の編集長、そんでニノが音楽誌の編集長。うちら若手のホープって言われてたんだからね!んで、翔くんとは社内恋愛して、結婚、俺は寿退社しました!」
あ、翔くんはまだ退社してないからちゃんと働くんだよ?と、智くんは笑いながらいった。
そうかこの世界では、俺は、小説の編集しているのか!しかも編集長かよ。
てか、社内恋愛って。
智くんと社内恋愛?
なにそれえろい。
いやもう社内恋愛っていう言葉の響きだけでえろいのに、智くんとって。
やべーだろ。
「鼻の下伸ばしてないで寝るよ!」
いつの間にかアルバムをしまった智くんに頭を叩かれてしまった。
