
10年恋
第2章 第二章
「ニノに怒られるかも」
教室へと戻る途中、智くんは苦笑しながらつぶやいた。
「ニノって、休み時間に一緒にいたひと?」
たしか智くんと同じくらいの背丈で・・・
そういえばさっき不機嫌な顔、してたな。
「うん、二宮和也っていうの。俺の大事な親友!きっと翔くんもすぐ仲良くなれるよ。ニノ人懐っこいし」
大事な親友か。
俺にはそんなもん、いないな。
遠くを見つめながら歩いていると、二宮が相変わらず不機嫌な表情でこちらを見つめているのが見えた。
二宮のもとへいくと、案の定怒られた。授業をさぼるなんてありえない!と彼は最後につぶやいた
。
「翔さん、あなたも転校初日にさぼりだなんていい度胸ですね」
呆れた表情をした二宮の顔はこちらを向いた。
智くんが、人懐こいっていってたのが分かる気がする。
子犬みたいな顔してるし。
「人のハナシ、聞いてます?」
人の顔をそんなに見つめるな、と言わんとばかりに、二宮は俺に催促の言葉をかけた。
「あ、うん、悪かった」
話が盛り上がったからとはいえ、智くんを巻き込んで、授業をさぼってしまった。たしかに俺が悪い。
「まったく。あとでさっきの授業のノート見せてあげますから、写すなり、コピーするなりしてください。お腹すいたのでご飯食べましょう。」
それだけ言うと、二宮は教室に戻っていった。
意外なやさしさに、思わず智くんを見ると、智くんは笑っていた。
「ニノはなんだかんだ優しいんだよ。ほら、はやくしないとまたニノに怒られちゃうよ!」
智くんが駆け足で教室へと入っていく。
その姿をぼーっと見ていた俺も、慌てて教室へと入った。
