
10年恋
第2章 第二章
教室へ入ると、すぐにやってきたのはあの女だった。
「櫻井くん、一緒にお昼ご飯食べない?」
相変わらずの上目遣いに、甘ったるい声。
こいつ、ほんとバカだな。
それともあれか?
もう二度と近づくな、って言わなきゃわかんないわけ?
開きかけた口が、
思わぬ声にさえぎられた。
「あ、きみが翔ちゃん??噂通りのイケメン!!はやくこっちでご飯食べよ!」
女の腕が離れ、代わりに見たこともない男に腕をつかまれ、ぐいぐい引っ張られていく。
その先には、智くんと二宮もいた。
「おい、あんま引っ張るなよ。翔さんもびっくりしてんじゃんか。」
二宮が、俺の腕を引っ張る男の頭を叩く。
「だってー!翔ちゃんがおそいから悪いんだよ!」
叩かれた頭を押さえる男。
さっきから俺のことを翔ちゃんと呼ぶ、この男は誰なんだ?
「その前にとっとと自己紹介しろや!」
二宮の鋭い突っ込みに男はハッとこちらを見た。
おいおい、忘れてたのかよ、自己紹介。
「俺、相葉雅紀!隣のクラスのアイドルでーす!相葉ちゃんってよんでください!すきな食べ物は」
「んなこと聞いてねえよ!」
すぐに飛んできた二宮の突っ込み。
なんだこれ、まるで漫才みているようだ。それくらい息の合った二人。
「ごめんなさいね、こいつ大ばかなもんで。」
