
10年恋
第2章 第二章
「大バカってなんだよー!ニノの馬鹿やろう!おたんこなす!ばーかばーか!」
他にボキャブラリーないのか?
あまりの幼稚な発言に苦笑いする俺。
二宮も呆れているようだ、
相手にするのも面倒くさくなったのだろう、弁当を食べ始めている。
「うわーんやっぱ俺には大ちゃんしかいないよ」
相手にされなかったのがかなしかったのか、相葉は智くんに抱き付いた。
パンを頬張っていた智くんは突然相葉が抱きついてきたものだから、むせて咳き込んでいる。
おいおい
相葉
智くんが苦しそうじゃんか
「智くん、だいじょ」
大丈夫?と言いかけた言葉は
背後から来た違う男の声によって遮られた。
「おい雅紀!智に抱きついてんじゃねえ!」
男は智くんを相葉から奪い、抱きしめた。
え?
抱きしめた?
「いいじゃん!俺だってたまには大ちゃんとハグしたいもん!潤ばっかりずるい!!ねえニノもそう思うでしょ?」
話を振られた二宮だったが、無視を決めつけているようで、ただひたすら弁当を食べている。
「ふん、そう思ってるのは雅紀だけだったみたいだな、もう二度と智に抱きつくんじゃねぇぞ?」
男は相変わらず智くんを抱きしめている。
抱きしめられている智くんは、
顔を真っ赤にして身を委ねていた。
耳まで真っ赤な智くん。
なんでそんなに照れてるんだ?
「や、やめてよこれ以上。ほら、翔くんも困ってるしさ」
チラリと智くんは俺を見た。
そんな顔で見られたら俺ヤバイよ。
胸のドキドキがとまらなくなる。
「翔くん?あ、噂のイケメン転校生ってあんたのことだったのか」
男はようやくこちらをみた。
ジッと目が合う。
なんだか品定めされているみたい。
そんな視線を強く感じて戸惑った。
「あ、はい。櫻井翔っていいます」
ふうん、なるほどな。男はそう呟いた。
なにがなるほどなんだ?
さっぱりわからない。
「智の好きそうなイケメン面って感じだな。あ、俺は松本潤。隣のクラスの学級委員長やってる。そして智の彼氏だから」
智くんの彼氏?
思わず智くんをみると、彼は顔を真っ赤にしてうつむいている。
「だから智に手、出すなよ?」
だめだ、頭の中、真っ白だ俺。
