
10年恋
第2章 第二章
大野は抵抗するわけでもなく、なにも言わず、ただ腕を引っ張られていた。
さてどうしようかと迷った末に、屋上に来た。
大野の腕をはなし、そのまま寝転がる。
風が涼しい。
田舎は空気がきれいだからいいな。
「ねえ」
上から声が降ってきた。
大野の顔がある。
ちょっと不機嫌そう。
まあ、無理もないか。
「なに?」
なんで屋上なんだ、と文句でも言われるかな。
「俺、大野智。大野じゃなくて、智って呼んで。」
予想外なことを言われて、すぐに言葉がでなかった。
大野はそれを気にすることなく、隣に座りこんだ。
「櫻井翔だよね?じゃあ翔くんって呼ぼ」
いいでしょ?って微笑む大野。
その笑顔、反則。
「いいよ。じゃあ智くんでいい?もっと仲良くなったら、呼び捨てにする。」
いいよ、って返事をする大野、いや智くん。
それからしばらくの間、智くんから学校のことを聞いた。
校長はヅラだの、担任は最近彼女に振られただの、結構くだらないことを智くんは教えてくれた。
楽しそうに話す智くん
笑いが止まらない俺
気づけば休み時間も授業も終わっていて、昼休みになっていた。
