テキストサイズ

10年恋

第2章 第二章



休み時間になると、クラスの女子が机の周りに集まってきて、いろいろと質問してくる。


東京ってどんなとこ?

櫻井くんは彼女いるの?


めんどくさい。
質問に答えることも、
女の相手をすることも。


隣の席の大野は、教室の端で友達と楽しそうに談笑していた。

大野ともっとはなしたかったのに、休み時間のたびにこの状況だ。

どうにかならないかと、席を立ち上がろうとした瞬間、女に腕をつかまれた。


「あ!ねえ、学校案内してあげる!」

甘ったるい女の声に、イライラが募る。
確かにこいつはクラスの女子の中で群を抜いてかわいい。それを自覚しているのか、上目遣いでこちらを見てくる。いつもの俺なら、きっとこの女の誘いにのって教室を抜け出し、屋上ででもヤッテいたのかもしれない。そう、いままでの俺なら。


「いや、いいわ。案内なら大野にしてもらうから。」


一瞬女の表情がゆがんだ気がした。

腕を振りほどくと、そのまま大野のもとに行き、

「大野、俺に学校案内して」

驚く大野の腕をとる。

ちらりと大野の隣にいた男の顔をみると、なぜか不機嫌な顔をしていた。


それを無視して、大野を教室から連れ出した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ