
10年恋
第6章 第六章
授業が終わった瞬間、うなだれた俺を見て、智くんが笑った。
「まさか授業中に公にしてくるとは思わなかったよー」
頭が痛い。
はやく智くんの誤解を解かなければ。
「智くん、あのね、あなたね、ものすんごい勘違いしてる」
俺の言葉に、目をぱちぱちさせ、首を傾げた智くん。
「俺は二宮とは」
付き合ってないから!という言葉は、
「おーちゃん!!!」
無駄に声のでかいうるさい相葉にさえぎられてしまった。
「あ、相葉ちゃん」
「おい、相葉ー、俺の智に許可なく抱き着くなっていっただろうが!」
そしてもう一人、智くんの恋人の松本が登場。
まって
俺これ完全に智くんの誤解とくタイミング失ったよね?
「いーの!これは親友の特権だもんねー!」
「あ?抱き着くのは恋人の特権だろうが」
智くんを抱きしめたまま言い争いをはじめた二人に、困った顔して、俺に助けを求めている智くん。
「まあまあ、智くんこまってるから」
離してあげて、というと、相葉はしぶしぶ智くんから離れた。
「ところで二人はなんか用があったり?」
「あ、そうそう!今週末、地域のお祭りがあるからみんなで行こうって言いに来たの!!」
目をキラキラさせながら相葉が言った。
「お、いいね!みんなで行こう!」
このお祭りでそれぞれの距離が急接近することは、まだ誰も知らない。
