
10年恋
第5章 第五章
「俺じゃだめですか?」
俺なら智の代わりになれるかもよ?って囁く二宮。
「ごめん」
智くんの代わりなんていない。
二宮は二宮だし、智くんは智くんだ。
「はー。言っときますけど、松本はなかなか手強いですよ?」
ちいさく笑った二宮を思わず見つめた。
えっ
それってもしかして?
「別に認めたわけじゃありません!だから協力はしませんけど。でも、好きでい続けることは自由なんじゃないんですか?」
だから俺も翔さんを想い続けますよ、って。
あー二宮、二宮には相葉を想い続けてほしいな、なんて口が避けても言えるわけがなくて。
「ありがとう」
例え叶わない恋だとしても、
俺は智くんが好きなんだ。
この想いだけは大切にしたい。
「あ、翔さんのせいでもうこんな時間!」
時計を見ると、たしかに授業開始10分前。
まだ学校にたどり着いてすらいない俺達は全速力で駆けた。
