
10年恋
第5章 第五章
翔side
二宮にはどうしても伝えておきたかった。
俺の気持ちを。
そして
俺も二宮も前に進むためにはきちんと話しておくべきだと。
学校で話すとなると、いろんな人物に邪魔されてしまう気がして、あえて朝を選んだ。二宮と智くんの通学路で待ち伏せをした。
なんであなたが??
とでも言いたげな二宮から視線を外して、同じく驚いてる智くんに話しかけた。
「あー、智くんごめん、二宮ちょっとかりてもいい?二人きりではなしたいこと、あんだよね」
すると何故か智くんは顔を真っ赤にして、俺は邪魔者だもんねごめん、っと言いながら駆け足で去っていった。
なんだかとんでもない誤解されているような。
「智、よくとんでもない誤解しますよ」
目の前にはニヤリと笑った二宮。
「えっ、」
まさか
「智に話しました、翔さんに告ったって」
あー
智くんはきっと今頃とんでもない誤解をしているに違いない。
いや、告白の返答には間違いないんだけども。
「まあいいや。それでその、昨日のことなんだけど、ごめん。」
頭を下げると、二宮のため息が聞こえた。
顔を上げると、心底不機嫌そうな表情をした二宮。
「まさかこんな朝っぱらから振られるなんて」
「ごめん、それであの」
やっぱり智くんが好きなんだ、と伝えると、怒ると思っていた二宮は本日二回目の溜息をしただけだった。
「た、た、たしかに智くんには松本という彼氏がいるし、俺なんかが間に入れるわけなんてないし、ましてや智くん俺のことなんか眼中にないわけだし、叶わない片思いだってことは承知してる!それでも!」
智くんを想い続けたいんだ。
それが俺の本心だから。
二宮は何も言わなかった。
ただジッと俺を見つめているだけで。
