
10年恋
第5章 第五章
翔side
放課後、俺は図書館で二宮に数学を教えていた。
二宮は頭がいい。
一度教えたことは絶対に忘れないし、
要領がいいとおもう。
静まり返った図書館には、教科書をめくる音と、二宮が走らせるペンの音しかしない。
「できた」
少しして、二宮がノートを差し出してきた。
それを丸付けするのも俺の役目だ。
参考書の解答と照らし合わせながら、丸付けしていく。
ふと二宮の強い視線を感じて顔を挙げた。
「翔さんは、智が本当に好きなんですね。」
え?
予想しない、二宮の突然の発言に思考がついていかない。丸付けしていた手も完全に止まった。
「翔さん、智のこといつも愛し気に見ているから、嫌でも伝わりますよ。」
二宮がなにを言いたいのかさっぱりわからない。
智くんは松本のものだから奪うなって?
そんなことわかってる
なのに今更それをまたいうのか?
「でもね、嫉妬する自分がいるんですよ」
智に対してね、とつぶやき小さく笑った二宮。
嫉妬?
智くんに対して?
待って
それって
まさか
「それで気づいちゃったんですよね、ああ、俺、翔さんのことが」
「言うな!」
反射的に立ち上がると、
手にしていたペンは床に転がった。
俺は二宮の言葉をさえぎることに必死だった。
それ以上、聞いちゃいけない。
知ってはいけない。
だってそれは
「好きなんだって」
俺を混乱させる言葉だから。
放課後、俺は図書館で二宮に数学を教えていた。
二宮は頭がいい。
一度教えたことは絶対に忘れないし、
要領がいいとおもう。
静まり返った図書館には、教科書をめくる音と、二宮が走らせるペンの音しかしない。
「できた」
少しして、二宮がノートを差し出してきた。
それを丸付けするのも俺の役目だ。
参考書の解答と照らし合わせながら、丸付けしていく。
ふと二宮の強い視線を感じて顔を挙げた。
「翔さんは、智が本当に好きなんですね。」
え?
予想しない、二宮の突然の発言に思考がついていかない。丸付けしていた手も完全に止まった。
「翔さん、智のこといつも愛し気に見ているから、嫌でも伝わりますよ。」
二宮がなにを言いたいのかさっぱりわからない。
智くんは松本のものだから奪うなって?
そんなことわかってる
なのに今更それをまたいうのか?
「でもね、嫉妬する自分がいるんですよ」
智に対してね、とつぶやき小さく笑った二宮。
嫉妬?
智くんに対して?
待って
それって
まさか
「それで気づいちゃったんですよね、ああ、俺、翔さんのことが」
「言うな!」
反射的に立ち上がると、
手にしていたペンは床に転がった。
俺は二宮の言葉をさえぎることに必死だった。
それ以上、聞いちゃいけない。
知ってはいけない。
だってそれは
「好きなんだって」
俺を混乱させる言葉だから。
