
10年恋
第5章 第五章
相葉は松本によって強制的に連れて行かれた。
相葉の騒がしい声がなくなったせいか、教室は静まり返っていた。
「まったく、朝から晩までうるさんいんだ、あの人は」
いつの間にか隣に来ていた二宮が迷惑そうに呟く。
智くんはカバンだけおいて教室から出て行った。トイレかな?
「あ、また潤からスカウトされてたんですか?生徒会長に」
俺の持っている紙をチラリと見て二宮は言った。
やればいいのに、って呟く二宮も、
俺が生徒会長になることに賛成している。
俺はそんな器じゃないのに。
「あ、そうだ!今日暇です?勉強教えてもらいたいんですけど」
二宮はたまに勉強を教えてほしいと言ってくる。
もちろん断る理由もないから、いいよと答えた。
だけど
これが波乱の幕開けとなることは
だれも知る由がなかった。
