テキストサイズ

10年恋

第4章 第四章

そして日曜日はあっという間にやってきた。


智くんと遊園地だ、といううれしい気持ちの一方で、松本もいるのだから、という何とも言えない気持ちがあった。


待ち合わせの入場ゲートの前までいくと、すでに智くんと二宮がいた。なぜか二人は手をつないでいた。


「智、手つないどかないと迷子になるんですよ」


俺が不思議に思っていることに気づいたのか、二宮がいった。

たしかに
智くんはふらふらとどっかに行ってしまいそうだ。


「あと、松本なんですけど、急用が入ったみたいで今日これなくなったってさっきメールが」


そういいながら二宮が携帯の画面を見せてきた。

おみやげよろしくな、とメールの最後に書かれている。


遊園地のお土産っているかな?


同じことを二宮も思っていたらしく、

「智のはしゃいでいる姿でも写真にとって送っとけばいいでしょ」


それはたしかに嬉しいかもしれない。


「えーやだよ、はずかしいし、そんなんで潤が喜ぶかな」


智くんはあまり乗り気ではないみたいだ。


「あんたね、自分がどんだけ愛されてるか知らないでしょ、あーあ、潤がかわいそう」

二宮が意地悪そうにいうと、智くんは顔を真っ赤にしてうつむいた。
どうやら愛されている自覚はあるようだ。


しばらくしてようやく相葉がやってきた。


「おい、おせーよ大馬鹿野郎!」


早速悪態をついた二宮を気にすることなく、相葉は二宮の腕をつかんだ。

そして俺をみて言った。


「翔ちゃん、ごめん!今日はニノと二人で楽しむから!!じゃあ!」


「あ、おい、離せっ」


それはあまりにも一瞬の出来事で、二宮の抵抗もむなしく、相葉にさらわれていった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ