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10年恋

第3章 第三章



この間も

一緒に映画を見に行かないか、と誘った。

でも翔くんは苦笑いした。

「ごめん、その日は予定あるから」

断わられた。
じゃあいつなら空いてる?
聞きたい。
でも聞けない。
そんな自分がもどかしかった。




「嫌われてんのかな」


「え?」

俺のつぶやきにニノは神妙な顔つきをしたままこちらをみた。

読みかけの漫画を閉じ、
正座してニノを見た。

ニノは毎週のように俺の部屋に遊びに来て、漫画を一緒に読む。

今日もニノは来た。
ポテチとジュースを持って。


「翔くんに映画誘ったら断られた」

口に出してみると悲しくなる。
やっぱ嫌われてるよな。

「たまたま忙しかったんでしょ」

ニノは漫画から目を離さずに答えた。


そうなのかな
ほんとにそうだったらいいんだけど


「毎回断られる。ニノや相葉ちゃん、潤の誘いにはのるのに、俺の誘いには一回も乗ったことない。」


どう考えたって
俺だけ避けられてる。

学校では仕方なく接しているだけで、プライベートまで関わりたくないのかもしれない。
なにそれ悲しすぎる。


「たまたまでしょーよ。タイミングが悪いだけじゃない?それより、映画なら潤と見にいけゃいいじゃん。」


潤よろこぶと思うけど?
ニノは漫画から目を離して、俺に笑いかけた。


潤と付き合えたのも、ニノのおかげだったよな・・・

ふいになんとなくよみがえる記憶。

潤とのこと
ずっと応援してるから
幸せにな


付き合うことになったってニノに報告したら、すごい喜んでくれてたな



「・・・それもそうだな」


翔くんのことよりも

潤のことを考えろよ

そういわれてる気がして

こう返すのがやっとだった。




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