
泣かぬ鼠が身を焦がす
第6章 病に薬なし
薬飲むならご飯食べなきゃだし
俺がお盆に乗せて土鍋を運ぼうとすると、いつの間にか起き上がっていたらしい杉田さんが真後ろに来ていた
「わ!?なに」
「テーブルで食べられる。前いいか?」
「うん……」
2人して椅子に座って、向き合って食べる
美味しい、はずなのに
なんか味わかんない
なんとなく視線も下がってしまって、最終的には自分が持ってるお茶碗の縁を眺めながら食べることになった
ごめん、茜さん
お粥を食べさせることには成功したけど、いつもみたく美味しく食べれない
この空気が俺のせいかと言われると微妙だけど
それで、そろそろお互い食べ終わるかなって頃杉田さんが突然口を開いた
「……ノラ」
「……なに?」
うぐ
冷たい感じに返事しちゃった
「悪かった」
「…………なんで、そんな何回も謝るわけ?」
「怒っているからさっきから静かなんじゃないのか?」
「は?」
怒ってるから……?
なんだって?
「怒ってるのは杉田さんじゃないの?」
「どうして俺が怒るんだ」
「それは、だって……」
余計なこと言ったし
「……こっちに来てくれ、ノラ」
「……うん……?」
