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泣かぬ鼠が身を焦がす

第6章 病に薬なし


伊藤さんが部屋から出て行って部屋に2人だけになると、俺はもう抵抗しなそうな杉田さんの上から退いた


「……」
「……」


うぅ……
ちょっと言い過ぎたかな

いやでも
うぅん

あ…………謝ろう、かな


心の中で葛藤していると


「すまなかった」
「ぅ!? あ……いや……」


さ、先に謝られた

でもあれだよな?
俺別に、間違ったこと言ってなかったよね


「……」
「……」


やっぱり、ちょっと気まずいかも


と思って口を開いた瞬間、 部屋の扉が開いて人が入ってきた


「失礼致します。杉田様の診察に参りました」
「あ、と……お願いします」
「はい。杉田様、お身体起こします」


入って来たのはお医者さんだったらしくて、慣れた手つきで杉田さんを起こした

俺が大きな鞄から色んな器具を取り出して診察を続けてるのをただ見ていると、また扉が開いて今度は茜さんが入って来る


「おはようございます」
「あ、茜さん。おはよう」
「おはようノラ」


チラチラ杉田さんの方を見てるのは、やっぱり杉田さんがいると話しにくいからかな

でも茜さんが来てくれて良かった


沈黙の続いていた空間から解放されてほっとしながら茜さんに近づく

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