泣かぬ鼠が身を焦がす
第6章 病に薬なし
うんうん
それが良い
と頷いていたら、杉田さんは「大丈夫だ」とまた起きようとする
「だーーもーー!!」
病人だからって手加減してやりゃこいつは
まったくー!
俺は布団の上から杉田さんのお腹の上に跨った
「おい、ノラ。退いてくれ」
「嫌だ」
仕事をしないと言うまで退きませーん
「俺が仕事をしなければ、何千という社員が困るんだ。だから休んでいる場合では……」
俺は説得しようとする杉田さんの言葉を遮って言ってやった
「何千も社員がいるのに社長1人休ませられないような会社なら、潰れて良いんじゃない?」
「!!」
上半身を杉田さんの方に倒して顔を近づける
「ここの社員は優秀なんだから、社長のフォローくらい簡単に出来る。……杉田さんが採用したんでしょ? 何であんたが信じてあげないわけ?」
「……」
ほんと、こういう奴の考えってみんな同じ
自分しか出来ない仕事なんてこの世に数えるほどしかないから
「社長。ノラ様のおっしゃる通りです。我々でどうにか出来ます」
「ほらな」
「ノラ様、それではすぐに医者を手配致しますので、それまで看ていて頂いてもよろしいですか?」
「わかった」
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