
泣かぬ鼠が身を焦がす
第34章 旅は道連れ
俺が背中をペチペチ手のひらで軽く叩きながら訴えるけど、拓真さんはまだ動かない
それどころか返事もしない
「……」
「……」
もしかして寝た?
と思うぐらいの時間拓真さんは俺を抱き締めたまま動かなかったんだけど、俺が諦め掛けた時急に動いた
「よし、支度しよう」
「え……!?」
なんなんだ一体
補給タイムかなにかだったの?
……満足そうな顔しやがって!!
説明ぐらいしろ!!
という俺の心の中の文句は拓真さんに届かず、拓真さんは「朝食を用意してくる」と言って部屋から出て行ってしまう
ぽつんと残された俺にはこのモヤモヤをぶつける当てもないから、何もかも諦めてテーブルに向かった
拓真さんが作ってくれた朝ご飯を食べたら、食後のコーヒーとかお茶とかを飲む時間を短縮して旅行の準備
「服は? 何泊分いるの?」
「そうだな……2泊分、だな」
その間はなに
もしかして今決めたわけじゃないよね?
「わかった」
服と、いつも使ってる洗面用具と
拓真さんに買ってもらった携帯と
とりあえずこれだけあればいいかな
俺は用意したものを、実家に帰った時に持って行ったきりになった鞄の代わりに買ってもらった新しい鞄に詰める
