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泣かぬ鼠が身を焦がす

第32章 愛してその醜を忘るる


なんとなく頭を撫でてみると、拓真さんの俺を抱き締める腕に力が入った


もっと、ってこと?


俺は何にも言わない拓真さんの気持ちを汲み取ろうと頑張りながら、頭を撫で続けた


拓真さんが動いたのはその数分後


「いつまでもここにいたら身体が冷えるな。上がろう」


そう言って拓真さんが俺からゆっくり身体を離した


なんだ?
あんなに変な感じだったくせに、超普通


違和感は感じたけど突っ込む暇もなく拓真さんに身体を拭かれ、あれよあれよと言う間に服も着せられベッドに入れられた


「おやすみ」


いやいや拓真さん
おやすみじゃないでしょ


俺は拓真さんの方に擦り寄る

すると拓真さんの腕が伸びてきて、当然のように抱き締められた


「ねー……」
「寝ないのか?」
「……寝るけど……」


なんだよ、その言い方
俺にとっとと寝て欲しいの?


「お風呂の、気持ちよかった?」
「……」


俺の質問に拓真さんは無言になる


寝たふりなんて通用しないぞ
今の今まで起きてたじゃないか


「ねーってば」


俺が自分の身体を揺らしてスプリングのあるベッドを丸ごと揺らしていると、拓真さんに頭を撫でられた

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