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泣かぬ鼠が身を焦がす

第32章 愛してその醜を忘るる


「……?」


ベッドの横に立っている拓真さんから視線を感じる


俺のこと見てる?
目開けた方がいいかな


でもそう思った矢先拓真さんに頭を撫でられた

手が離れたところで目を開けてみたんだけど、拓真さんはもう俺に背を向けている

そしてそのまま拓真さんはその場を立ち去ってしまった


え、行っちゃうの……?
しかもトイレじゃなくてお風呂場?


拓真さんが立ち去った方向は何故か浴室の方で、俺の頭の中には疑問符が大量に浮かぶ


ナゼ……?


暗い部屋の中で唯一浴室だけに明かりが灯っている

俺は拓真さんが入って行ったそこを見ながら何でそっちに行ったのかをひたすら考えた


うーん……
タオルを取りに行ったとか

いやでも拓真さんは別に汗かいてないよな

着替えに行った?

それも別に必要ないって


えー……と、じゃあ


暫くして漸く浮かんだ1番それらしい考えは


俺が汚した手と口を洗ってる、だ


あーーー……
それっぽい

だとしたら完全に俺のせいじゃん
仕事終わって眠かったかもしれないのにすぐ寝られないようにするとか、俺は鬼か

謝りに行った方がいいかな


俺はそう考えて少しベッドの中で待ってみる

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