
泣かぬ鼠が身を焦がす
第32章 愛してその醜を忘るる
拓真さんがお風呂から上がってくると、ベッドに座っている俺を見て電気のスイッチを触った
「今日も早めに寝るか?」
あー……最近は何か変なこと追求されたりしたら困るからって早めに寝てたんだっけ
「……うん」
今日はいい、と俺はここでも言えず
結局ダイエットしてた時と同じように早めに寝るため電気を消してもらった
「……」
「……」
いつもの通りベッドに2人で入る
「純」
すると拓真さんに名前を呼ばれて、俺は拓真さんの方へ寄った
寄った俺を拓真さんは優しい力で包む
ここまでも全部いつも通り
だけど俺としてはもっと強くぎゅ、ってして欲しい
でもここでも、俺の微妙に素直になれない性格が邪魔をして言い出せず
「……」
俺は眠ったフリをして拓真さんの腕の中に自分から深く入り込んだ
すると、拓真さんは俺から少し離れるように動く
あ、俺がお腹痛いって言ってたのを気にしてくれてんのか
にしても、離れられるのはちょっと悲しいな
「……」
俺は思い切って、拓真さんに自分からぎゅっと抱き着いた
「!」
驚いて肩を揺らした拓真さんが俺の身体に手を添えながら声を掛けてきた
