
泣かぬ鼠が身を焦がす
第32章 愛してその醜を忘るる
「全然太ってない!!」
と言い切った
「え、嘘だそんなことないよ!」
驚きの判定に俺が反抗すると、茜さんは俺の頭を優しい力で叩く
「こんなので太ったなんて言われたら世の女子は外歩けないから!!」
「でもほら、摘めるようになっちゃったよ! 前はそんなことなかった!!」
ここに来て初めて、茜さんと言い合いみたいになってる
しかもお腹の脂肪がどうのなんていう議題で
茜さんわかってくれない!!
俺太ったの!!
本当に!!!
そして俺たちは暫く「太った」「そんなの太ったうちに入らない」と揉めて
「……でも、気になるんだもん……」
と最終的に俺が俯くと、茜さんは慌てたように俺の頭を撫でてきた
「わ、わかったから……もう……本当に、全然気にすることないと思うよ?」
「……うん……」
完全にしょげた俺を見て茜さんは小さなため息を吐く
「仕方ないな。じゃあ、ご飯出来る限りカロリー抑えた物にしてあげる」
「! いいの……?」
「いいも何も、純がそうやって言ってくれるの珍しいからね。相談してくれたことは素直に嬉しいし」
「あ……ありがとう……茜さん……」
感動で、涙が出そう
茜さんいい人
