
泣かぬ鼠が身を焦がす
第25章 合縁奇縁
いけしゃあしゃあと嘘をつく母さんに、俺は「そんな嘘聞きたくない」とはっきり言った
「それに、俺が出て行った原因が何かもわからないの? あんたがあの人と関係が切れてないんだから、自分の言葉を信じろって方が無理でしょ」
「……彼も……主人も、申し訳ないと……謝りたいと言っていたわ。やり直したいとも」
はぁ?
何言ってんの
数年で俺の心はすっかり両親を信じる心をなくしたのか、何を言われても俺の心には響かない
また母さんに反論してやろうと思った
まさにその時
「!」
「お願いします。純を、引き取らせて下さい」
母さんはソファから立ち上がると床に膝を着き、そのまま頭も床に付けた
所謂、土下座ってやつ
「なに、して……!?」
その行動にはその場にいた全員が驚いて、拓真さんの目配せで伊藤さんが母さんを起こそうとする
「顔をあげて下さい」
「いいえ、出来ません。……純を引き取らせて頂けるまで、私はこうしてここを動きません」
なんで
どうして、そこまで
「失ってしまった親子の時間を取り戻したいんです。お願いします。純を……私の子供を、返して下さい……」
「……」
馬鹿じゃねーの
そう俺の口からでかかった時、今日1番の衝撃的な事が起きた
