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泣かぬ鼠が身を焦がす

第25章 合縁奇縁


「わかりました」


拓真さんが、了承する旨の言葉を口にしたんだ


「!?!? 拓真さん……!!!!」


なんで!!!!!


「その代わり、条件を付けさせて下さい」


驚愕する俺には目もくれず、拓真さんは母さんを真っ直ぐに見つめている


「条件……ですか?」


やっと顔を上げた母さんが、涙に濡れた目で拓真さんを見た


「えぇ」


拓真さんが伊藤さんに合図を送ると、伊藤さんが紙とペンを手渡す

そこにサラサラと何かを書き始める拓真さん


でも俺の頭の中はそれどころじゃなくて


わかったって
なんで?

どうして?

つーか俺



ここから

本当に出てかなきゃいけないの?


紙に何かを書き続けている拓真さんの横顔はあまりわに無表情で、何の感情も感じられない


「出来ました。目を通して下さい」


放心しているうちに拓真さんは母さん達に提示する条件を書き終わったみたいで、その紙を母さんに向けて見せた


数項目に及ぶそれを、母さんが声に出して読み始める


「携帯電話の所持を認めること、部屋に監禁はせず自由を保障すること、純の部屋にはカメラを設置し常に見れる状況にすること…………」

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