
泣かぬ鼠が身を焦がす
第25章 合縁奇縁
拓真さんの驚いたような問いに、漸く息の整った伊藤さんが
「受付に、女性がいらっしゃっています」
と告げた
驚いたのはその次の言葉
「その女性が、自分はここにいる間宮純の母親だと名乗っているんです」
「!?」
「……ぇ……」
伊藤さんが険しい顔をしている
「間宮純さん、は……ノラ様の本当のお名前で間違いないでしょうか」
何て答えればいいのか
全然わかんない
「……」
俺が何も言葉を発することが出来ないことを察してくれたのか、伊藤さんは今度は拓真さんに向き直った
「証拠もあるようで、私が確認いたしました」
「証拠?」
「えぇ。……この部屋の盗撮映像のように見えました。もしかしたら、あの時に……」
「!! カメラを……?」
「恐らくは……」
2人の会話に、身体の温度が下がる
あの時、俺を探してたんじゃないってこと?
盗撮用のカメラを、取り付けに来ていた?
「そんな違法なものを証拠と言えるのか!?」
「……申し訳ございませんが、血の繋がった親子が相手の場合は……わかりません……」
そんな
盗撮、なんて
ずるい
「今すぐ連れてこなければこの証拠を警察に提出する、とのことです」
