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泣かぬ鼠が身を焦がす

第25章 合縁奇縁


俺たちはいつも以上に自分たちの今日あったことを話しながら食事をした

それから拓真さんがお風呂入るのを待って、一緒にベッドに入る

いつもの通り拓真さんに抱き締められると、1日の苦労がじわっと戻ってきて


あ……
俺、本当に逃げ切れたんだ……

あの人たちのところに戻らなくていいんだ


少しだけ涙が滲んだ


「純、どうした?」


俺の様子が変なのを敏感に察知した拓真さんが囁くような声で聞いてくる


「……何でもない」


俺が拓真さんの腕の中にぐ、と深く潜ると、何も聞かずに背中を撫でてくれた


良かった

なんか、夢みたい

これで明日目が覚めてみたらさぁこれから視察が来るぞってなってたらどうしよう

もし今日と同じ状況にもう1度なったとしたら、見つからずに居られる自信ない

だから本当に

良かった


「拓真さん」
「ん?」


……

やっぱり
夢じゃないか拓真さんにも確認しておこうかな


「……俺、これからもここにいていいんだよね?」
「当たり前だろう」


だよね
いいんだよね


「ずっとここにいろ」
「………………うん」


俺は昨日あんまり寝付けなかった分深い眠りについた

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