
泣かぬ鼠が身を焦がす
第25章 合縁奇縁
嘘ついていなくなったのか……
すげーことすんな
「しかし、よく見つからなかったな?」
「クローゼットの中ですげーちっちゃくなってたんだよ。身体痛かったー」
俺が隠れていたクローゼットを指差すと、拓真さんは「あんな狭いところにいたのか。頑張ったな」って半笑いで褒めてくれる
「部屋の中すげー細かく探し回ってるし、絶対見つかると思って超怖かった」
俺が見上げながら拓真さんに苦労話を訴えると、拓真さんは俺を撫でてまた謝りながら褒めてくれた
「拓真さんは? 特になんかなかったの?」
「そうだな……視察自体は特に何ともなかったな。総理からの質問が多かったような気もするから時間を稼がれたと思えばそう思えなくもないが、興味を持って見てもらえたと言われればそうも思えるな」
じゃあ結局別に変なところはなかったってこと?
まぁ、あの人
だもんな
俺の記憶の中にあるのは、二面性のありまくるあの人の姿
演技なんて、お手の物か
「飯食うか」
「うん!」
「今日は昼飯弁当で悪かったな」
「美味しかったよ。勝利の味がした」
「そうか。晩飯でも味わえるといいんだが」
「祝勝会だーーっ」
