
泣かぬ鼠が身を焦がす
第25章 合縁奇縁
誰もいないのはわかってるけど、緊張しながらそろっとクローゼットから出る
「あーーーー!!! 疲れたー!!!!」
誰もいない、特に何もない
って言うのを一応確認してから俺はベッドに飛び込んだ
ずっと体育座りして小さくなってたから、両手足を伸ばせるのが嬉しい
柔らかいベッドに頬ずりをしていると、扉が開いて知らない女の人が入ってきた
「お昼ご飯お持ち致しました」
「あ……ありがとうございます」
変なところを見られてしまった
恥ずかしさを感じつつ、テーブルに置かれた仕出しのお弁当にありつく
今日だけは、茜さんや拓真さんの作ってくれるご飯じゃなくて全然いい!!!
美味しい〜
勝利の味をお弁当で味わいつつ、広い部屋っていいなーなんて考える
それから俺は色んな意味でかいた大量の汗を流しにシャワーに行ったりして時間を潰した
そして
「ただいま」
「拓真さん! おかえり!!! やったよ!! 俺隠れ通したよ!!!」
拓真さんが帰ってきて、俺が駆け寄ると喜んで抱きとめてくれた
「人が入ってきた時はまじで焦ったよ……!!!」
「悪かった。手洗いに行くと言っていなくなっていたんだ」
