
泣かぬ鼠が身を焦がす
第13章 正直の心より
まぁ、急に言われてもわかんないか
「俺の本当の父さんはずっと昔に死んじゃってて、小学生までは母さんと2人暮らしだった」
写真でしか見た事のない父の顔は、既に思い浮かべる事も出来ないほど希薄な記憶でしかない
「それで俺が中学に上がった頃、母さんが仕事先で知り合った人と結婚したいと言ったんだ。俺はもちろん賛成。母さんが毎日忙しそうに仕事に行くの見てて辛かったから」
「優しいな」
「そんなことない」
家族なら当然だと思ってたし
「それで、母さんが連れてきた再婚相手は…………」
「純?」
名前も言いたくないほど
憎くてたまらない
母さんの再婚相手
俺が言葉に詰まって話せなくなった時、杉田さんも間宮って名前を思いついたみたいで
「!! 間宮って、まさか」
と声を上げた
やっぱり知ってるよね
杉田さんの会社ももちろん大きくて立派だし
藤本だって全国的に有名な国会議員の孫だ
でも、あいつはそれよりもっと大きな権力を持ってる人
「そう。母さんの再婚相手は第98代目総理大臣、間宮慎太郎(マミヤシンタロウ)」
「前に報道されていた総理の再婚は純の母親……!?」
