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泣かぬ鼠が身を焦がす

第13章 正直の心より


た、頼まれても……
恥ずかしい……し……


でも、杉田さんの期待に満ちた目はすごく俺を責め立てて

結局俺は


「たくまさん……」


と、蚊の鳴くような声で杉田さんの下の名前を呼んだ


うわわわわ
俺、今絶対顔赤い!!!

くそー


俺はもう心中穏やかでなんかいられなくて、再び杉田さんの胸に顔を埋める

けど、杉田さんはきっと俺の気持ちも全部わかってるのに


「もう1回」


と追い打ちをかけてきた


も、もう1回……


「たくまさん……」
「もう1回」
「……っ、拓真さん」
「もう1回」
「拓真さん!!」


そして、4度目の名前を呼ばされた後力強く抱き寄せられた


「ぅ、ぐ、杉田さん、苦しい……よ……」
「…………」
「杉田さん……?」


あーーもーー
わかったよ!!!!


「拓真さん!苦しいって!」
「悪い」


名前呼ばないと返事してくれないんだろってヤケになって名前を呼ぶと、杉田さんは少し半笑いで腕を緩めてくれた


「今後、苗字じゃ返事しないからな」
「…………意地悪」
「俺も純って呼ぶから」
「……」


それ、俺にしかデメリットじゃないじゃん


そんなことを考えていると、杉田さんがまた俺の目を見た

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