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泣かぬ鼠が身を焦がす

第13章 正直の心より


「名前は? 本名を教えてくれ。偽名じゃなくてノラの名前ちゃんと呼びたい」


名前……
本当の名前呼びたいって、もしかして気にしてた?


改めて言うのはなんだかすごい秘密を打ち明けてるみたいで恥ずかしい


「マミヤ、ジュン……」
「漢字は?」
「間の宮に、純粋の純」
「間宮純……」


改めて呟かれるとすごく照れ臭くて、ちょっとだけ視線を逸らす

でも


「純」


って杉田さんの声に呼ばれたら視線を逸らしてても破壊力はすごくて

鼓膜を揺らす振動が身体全部を揺らして溶かしてるみたいな気持ちにされた


「…………何」
「良い名前だ」


俺は自分の名前なんか大嫌いだけど


「杉田さんがそう言うなら、きっと良い名前なんだろうね」
「純」
「なに」
「純」
「なんだよ」


呼んだだけとかバカップルみたいなことやめろよ

恥ずかしいっつの


「俺も純のこと好きだ」
「……っ」


ばかやろう
不意打ちズルい

今言われたら取り繕えない


「顔真っ赤」
「うるせー」
「純?」
「……なんだよ」
「俺の名前も、下の名前で呼んでくれ」
「!」


下の、名前……って……


「頼む」

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