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泣かぬ鼠が身を焦がす

第12章 盲目


何故侵入できたんだ

どこかの警備が手薄になってたか
されてたか

もしくは、買収されたか


「わかったら連絡してくれ」
『かしこまりました』
「恐らく杉本泰造の孫だと思う」
『わかりました。すぐに調べます』


電話を切ると、俺は椅子に体重を預けて脱力した

今の状況で他に俺が出来ることはない

どうやってノラが拉致された場所を特定するかは、今考えていても机上の空論だ


「はぁ……」


俺はとにかく、一刻も早く車が到着してくれることを祈って目を閉じた



「社長、到着しました」
「あぁ。助かった」


俺は着くなり車を飛び出して、会社に入る

エントランスには静が待機していた


「連絡出来ずすみません。今ようやく特定が終わって、車のナンバーもわかりました。仰られていた通り藤本幹也の仕業です」
「警察には?」
「通報してあります」


警察沙汰にしたくないと言って俺を呼び出したくせに、結局警察に通報されたんじゃ本当に俺を呼び出したのは時間稼ぎだったのか?

もしくは、このくらいのことまた揉み消すことぐらい容易いってことか


「警察から返答は?」
「サーバーへの侵入の時と違い、車のナンバー等から場所を特定すると言ってくれています」

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