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泣かぬ鼠が身を焦がす

第12章 盲目


「出ても良いぞ」
「……失礼します」


ポケットから携帯を取り出して、1度廊下に出てから電話に出る


「俺だ」


電話をかけてきたのは静だった


『社長大変です……!!! ノラ様が部屋にいらっしゃいません!!』
「なんだと?」
『申し訳ございません。気がついた時にはもう……っ』


くそ
やられた


俺はとにかく会社の監視カメラを確認するように指示を出し、すぐに電話を切る

そして、再び部屋に入った


「やってくれましたね」
「何のことかわからんな」
「何故孫のこんな行為を手助けするようなことをした?」
「私が個人的に君と話をしたかったんだよ」


そんな理由があるかよ
この耄碌爺


そう思ったが、一刻も早くここから出て戻らなければならない


「失礼する」


そう一言だけ告げて俺は部屋を飛び出した

廊下を歩きながら運転手に電話をかけて、すぐに向かうように指示を出す


「わかりました。すぐに向かいます」
「頼む」


場所を聞いて、靴を履くと俺もそっちの方向に歩いた

合流するとすぐに会社に向かうよう頼み、車を出してもらう

そしてまた静に電話をかけた


『はい』
「映像の確認は出来たか?」
『今データを送ってもらっています』

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