泣かぬ鼠が身を焦がす
第12章 盲目
エレベーターで下に下りながら、出る直前に着たスーツを直す
「私も同席した方がよろしいでしょうか?」
「いや、大丈夫だ。社内の雑務と、今日キャンセルした予定の組み直しを頼む」
「わかりました」
あぁ、そうだ
「あと、ノラには俺が議員の家に行っていることは話すなよ。別の予定を伝えておいてくれ」
「畏まりました」
1階に着き外に出るとすぐに車があり、俺に気づいた運転手がドアを開けた
「それでは、いってらっしゃいませ。お気をつけて」
「行ってくる」
車に乗り込んで軽く手を挙げるとドアが閉められ、滑らかな動きで車は会社を出た
議員の自宅は高級住宅街と言われる場所にあり、オフィス街にある俺の会社からは少し距離がある
俺はそこまでの間書類の確認をして過ごした
「社長、お待たせいたしました。到着です」
「あぁ」
車が止まったのは、大きな塀に囲まれた家の門の前
随分デカい家に住んでるんだな
まぁ、議員なんてこんなものなのかもしれないが
「お帰りの時間はお決まりですか?」
「いや、悪いがどこか近くに停めて待っていてくれ。用事が済んだら連絡する」
「はい」
「すまないな」
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