
泣かぬ鼠が身を焦がす
第12章 盲目
『それでは、お待ちしております。失礼いたします』
「あぁ」
電話を切ると、静が近づいてきた
「何故議員のお孫さんがこのようなことなさったのでしょうか……」
「……」
理由はわかるが
目論見はわからない
なぜ
「とにかく、朝から出る。予定の調整を頼む」
「わかりました」
「それからサーバーに何かされていないかもう一度確認しておいてくれ」
「はい」
双方に指示を出して、俺は1度社長室に戻った
眠る気にもなれなかったがなんとなくノラのいる部屋に行く
ぐっすり寝ているノラは、抱き枕の代わりに布団を手繰り寄せて抱き締めていた
くそ
本当に、可愛いな
布団を全部一纏めにしているせいで背中が全部出てしまっていて、それを直してやる
「……ん……ぅ……」
ベッドに腰掛けて長めの黒髪を撫でると、ノラが小さく動いた
「……」
俺は結局、静が「時間です、社長」と呼びに来るまでノラの髪を撫でて寝顔を眺めていた
「その後、システム関連で何か異常は見つかってないか?」
「えぇ。今のところは全く報告されていません」
「そうか」
本当に侵入しただけなのかもしれないな
