
泣かぬ鼠が身を焦がす
第12章 盲目
『ご迷惑をおかけし、大変申しわけございませんでした。本人に代わり、謝罪させて頂きます』
「藤本幹也本人はどうしてる?」
俺の質問に、少しの間が空いた
『大変反省され、議員から自宅謹慎の罰を受けてございます』
自宅謹慎?
ふざけるなよ
ノラが俺のところにいるとわかって、嫌がらせを仕掛けてきたんだろう
こんなことを続けられてはたまらない
「自宅の場所を教えろ。明日俺が訪ねて、その際に正式な謝罪を要求する」
『……少々お待ち下さい。確認して参ります』
秘書はそう言って電話を保留に入れた
また少し時間が空き、電話口に秘書が戻ってくる
『お待たせいたしました。それでは、住所を申し上げます』
「あぁ」
言われた通り復唱して、それを静に書かせた
確認まで終わると
『明日は議員も同席するとのことですので、こちらで時間を指定してもよろしいでしょうか?』
と言われた
孫の不祥事に同席?
随分入れ込んでるんだな
「構わない」
『ありがとうございます。申しわけございませんが、明日は昼頃から議員に予定が御座いますので少し早いですがーーー』
午前の、それもなかなかに早い時間を指定され、それも静にメモを取らせる
