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泣かぬ鼠が身を焦がす

第12章 盲目


どうしてその程度の技術で企業にハッキングなんてしたんだ?


「警察に被害届けは?」
「出してあります。これぐらいの相手ならすぐに犯人も特定されるでしょう」


警察からの電話が鳴ったのはそのすぐ後

静が何故か電話口で声を荒げている
そしてすぐに電話を切った


「どうした」
「警察から、この件については捜査出来ないと言われました……」
「なんだと?」


捜査出来ない?
何故


詳しく考える間も無く浮かんだのは、ノラの知り合いの店で会った藤本議員の孫


いや、まさかな


そう思ったが、俺の考えは次の瞬間に肯定された

再び静の電話が鳴り、今度は俺に電話を差し出してくる


「藤本泰造議員の秘書だと名乗る方からです」
「……」


大人しく電話を受け取って「杉田拓真です」と電話に出た

すると、硬い声の男が自分が藤本議員の秘書であると説明し


『この度御社のサーバー内に不正侵入をしましたのは藤本泰造の孫、藤本幹也であると判明いたしました。警察の方にはこちらから正式に謝罪するから捜査は打ち切るようにとお願い申し上げました』
「……」


つまり、身内のことを表沙汰にはしたくないと

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