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泣かぬ鼠が身を焦がす

第12章 盲目


枕元に置いていた電話が鳴ったのはノラが寝付いて暫く経った後だった


「静か。どうした?」


浴槽で溺れかけて泣いて、疲れていたであろうぐっすり眠るノラを起こさないように、小さい声で会話する


『遅くにすみません、社長。先ほどご確認いただいたサーバーが突然ダウンしたものが、外部からの攻撃によるものらしいとの報告がありまして』


外部から、サーバーに攻撃?


「わかった。今すぐ確認に行く」
『申し訳ございません。私もすぐに向かいますので』
「すまないな。気をつけて」
『はい、ありがとうございます。それでは後ほど』


静との電話を切ると、そっとベッドから抜け出す


「……」


小さく寝息を立てるノラの耳にキスを落として、俺は部屋を出た


一晩中交代で休まずに働いているとある部署に入ると、何台もの画面に囲まれている社員たちがキーボードを操作している

その中でも1番立場が高いシステムエンジニアに声をかけた


「状況はどうだ?」
「あぁ、お疲れ様です社長。わざわざご足労頂いて申しわけありませんが、相手は大した技術も持ってない奴らですね」
「素人?」
「はい。ウチの情報にも全く手をつけられていませんし、特に問題なさそうです」

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