
泣かぬ鼠が身を焦がす
第12章 盲目
気がつくと、俺は病院みたいな無機質な部屋にいた
「……っ、くそ」
動こうとしてみたけど、寝ていたベッドの上の方で柵に両腕を固定されていて動けない
また手錠かよ
相変わらず変態趣味だな
ガチ、ガチ、と力任せに動かしてみたものの、手首が痛んだだけでびくともしない
部屋にはベッドしかなくて、壁はコンクリート剥き出し
窓がないから……地下か、物置?
藤本のとこにいた時も見たことねぇ部屋だな
しん、と静まり返る室内には、外の音は何も入ってこない
すると、部屋にある唯一の外へ通じる扉が開いた
「起きた? ノラ」
「…………」
「不機嫌だね?」
「……ったりまえだろ。こんなとこに閉じ込められて!!ふざ……っ!!!」
怒鳴るように吐いた藤本への暴言
その途中で言葉を切ったのは、藤本から平手が俺の頬へ飛んできたから
痛って……
「……」
「思い出して? そろそろ、その失礼な口の聞き方には我慢できなくなっちゃうよ」
そうだった
こいつはこういう奴だった
顔はずっと変わらない笑顔のまま
それが余計に不気味だ
「…………」
「だんまりなの? 別にいいけど」
「……」
「ちゃんと、調教しなおさなきゃ。ねぇ?」
